畑薙駐車場~登山基地 椹島~千枚小屋~千枚岳~丸山~悪沢岳~前岳~中岳~赤石岳~小赤石岳~赤石小屋~登山基地 椹島
夏の南アルプス南部縦走記録
登山隊2名
初日はアプローチだけで1日使い登山用駐車場で車中泊
翌日は登山者用バスで椹島まで移動してそこからクライムオン!
17kgのザックを背負って1,500mを登り切り千枚小屋でテント設営して2日目の行程終了
この時筆者はいつもより調子が出ずかなり体力が消耗していた
果たして一晩で回復できるのだろうか…?
前回までの記録
千枚小屋~千枚岳
AM3:00起床
眠い目をこすりながら寝る前に作っておいた炒飯をバクつく
食べ終わったらササッとテント撤収
ヘッ電着けてAM4:00本日の行程開始
起き抜けの急登は堪える
でも昨日2kg近く食材を消費した為か昨日に比べてずいぶん体が調子よい
今日の最終工程まで脚が保ってくれる事を祈る
そうこうしている内にだんだん東の空が明るくなってきた
日の出が近づいてきている
いつもながら日の出前に出発して歩いてる内に明るくなりヘッ電を仕舞い、暑くなってきて防寒着を仕舞いながら行動して行く時間が好きだ
そしてまずは本日一つ目の頂
千枚岳2880mに登頂
そして登頂と同時に御来光
標高3,000m
気温も低く空気も薄いこの地で雲海から浮かび上がる太陽は本当に美しい
涙が出そうになる
富士山もはっきり見える
これは今日は良い天気になるぞと心踊る
この素晴らしい光景をずっと眺めていたいがそうもいかない
本日の行程はまだまだ始まったばかりだ
千枚岳~丸山
次の頂である丸山を目指し再び歩き出す
すでに森林限界を超えているので高山植物しかない
軽い岩場などもあるが、この区間は難易度の高い箇所は少ない
とは言ってもテント泊装備を背負ってる時は思わずトラブルで荷物に引っ張られ落ちて怪我をするので気を抜いてはいけない
3000m級の尾根歩きを楽しむ
空が近い、まるで別世界
ただしこの標高での直射日光は紫外線が下界での大凡1.3倍
日焼け止めをしっかり塗らないと日焼けと言うより火傷に近い症状になるので要注意だ
丸山3032m登頂
本日二つ目の頂を踏む
なかなか良いペースで歩けてる
脚も問題なし
だいぶ陽も昇り富士山が雲の覆われ始めてきた
丸山~悪沢岳
お次は本行程のメイン悪沢岳だ
荒川三山とは
東岳、中岳、前岳の三山を指している
その中でも主峰とされる東岳は別名悪沢岳と呼ばれる
千枚岳~丸山間と違いここからは険しい岩道となる
これを超えれば悪沢岳の頂であるが体力も集中力も使う
テン泊装備背負ってこういう登りはけっこうキツい
相棒はアホみたいに体力はあるのだが3,000m級で岩場系は経験が浅く、空気の薄さと高度感の恐怖でだいぶ参ってしまっている
これは少し心配だぞ…
悪沢岳3141m
百名山の頂一つ蹴破!
やったぜ!相棒と肩を組み喜び合う
ここで小休止にしよう
時間はAM7:30
MAP見ながら頂上で行動食を齧る
悪沢岳~中岳
少し休んだら再出発
向こうに観える中岳を目指す
コースタイムは1:20
ガレたくだり坂をコル超え
ザックの重みがずしりと足に伸しかかる
トラバース気味にぐるっと回ると次々に新しい景色が我々を感嘆させる
疲れて泣き出しそうになるたびに景色がその気持ちを払拭してくれる
登山はこの繰り返しだ
リアルに体力が尽きるまでは歩き続けられる
再度急登が現れる
あの上の方にちょこんと見える屋根が中岳避難小屋の屋根だ
あそこまで行けば中岳山頂はすぐそこだ
中岳避難小屋到着
ここで小休止を取ることにする
披露した足を揉みながら小屋で購入したコーラを飲み干す
かなり雲が出てきたな
このあと天候が崩れそうだ
避難小屋から中岳山頂はすぐである
疲れた脚に鞭打って我々は再度歩みを再開する
そしてとうとう中岳3083mを蹴破する
本日4つ目の頂だ
すでに三角点を数個踏んでおり気力との戦いで感動は薄れつつある
しかしやはりと言うか、頂を踏んだ瞬間は感動するものだ
しかし嫌な予感がひとつ
中岳山頂から眺める景色で空には鱗雲が浮かんでいた
今までの経験上こいつが出ると天候が悪化するんだ
ほぼ間違いなく数時間後には雨が降ると予想する
中岳~前岳
さて中岳山頂では休憩を取らず出立する
中岳から前岳までは10分の近距離
雨が降り出す前に少しでも歩みを進めておこう
途中荒川小屋との分岐がある
まっすぐ行ったところが前岳の頂だ
頂上踏んだらまた戻ってきて荒川小屋方面に向かうので事になる
この場所にザックをデポして空身にストックのみで前岳山頂に向かう
少しの距離でも余計な体力を使わない様にする事は、大袈裟に聞こえるかと思うが山で死なない知恵である
いやいやザックが無いとこんなにも身が軽いとは(笑)
羽が生えたかのような軽快な歩みで一気に前岳山頂を踏む
体感速度は2倍での歩みだ
前岳3068m
これで荒川三山すべて踏襲
これから赤石岳を目指す
前岳~荒川小屋
その前に荒川小屋経由でコル超えをするのだが、この段階で9:00過ぎ
行動開始してから5時間が経過
2人ともかなり疲れが見える
しかし本日の行程は約半分しかこなしていない
バテてる場合じゃない気合い入れて歩くとしますか!
高山植物を野生の鹿から守る為の金網
登山道には網扉がありそこをくぐりながら降って行く
不思議なもので脚が限界に近いと登りより下りの方がキツい
遠くに荒川小屋が観える
先ほどの前岳から荒川小屋までのコースタイムは1:15となってるが、足が疲れて降りでコースタイム通りに辿り着けるかはちょっと微妙
お腹も空いてきた
荒川小屋で昼飯大休止を取る事にしよう
こんだけ歩いてるのに摂取カロリーは最低限
暑さと疲労で食欲は無いがとにかく高カロリーな物を腹に入れなければ歩けなくなってしまう
AM10:30荒川小屋着
千枚小屋を出てから6時間
ここまではだいたいコースタイム通り
山小屋にあるベンチで昼飯
お腹ぺこぺこだ
取り敢えず何か食べよう
フリーズドライの白米と親子丼
初挑戦メニュー
白米はお湯を注いで15分
親子丼は熱湯を150mlかけるとすぐ出来上がる
白米に具をかけたら親子丼完成♪
めちゃ旨!
山小屋で買ったコーラも飲んで体力回復
荒川小屋~ 赤石岳
滝汗を流しながら一歩一歩登っていく
Tシャツで額の汗を拭うと白い粉が袖にびっしり
汗が塩になってる
荒川小屋で1時間の大休止を取ったら再出発
次の目標は小赤石岳
ここから赤石岳の肩までの心臓破りの急登はキツかった
まっすぐ僅かに右に巻きながら進んでそこから尾根伝いに急登で一気に登る
赤石岳の肩は写真の一番左上の更に奥
ずーっと急登だ、嫌になる
振り返るとけっこう登ってきてるんだがまだまだ先は長い
こう言う時は振り返っちゃいけない
前だけをひたすら見つめる事を推奨する
もうこの辺りでは筆者もも相棒も終始無言
喋ると息があがって歩けなくなる
永遠に続くのでは無いかという過酷な登り山道
やっとの事で赤石岳の肩に到着
小休止とってまた歩く
ここから小赤石岳まではなだらかな道だ
山岳地図にはこの道は稜線の空中散歩などと至極素敵な風に書いてるが完全にガスってて何も見えない
晴れてたら奇麗だったんだろうな〜
と嘆きながらも歩みを進める
赤石岳の肩から20分ほどでこ赤石岳の登頂だ
小赤石岳3081m
景色はご覧の通り何も観えず
小赤石岳を出発して10分ほど歩くと、赤石小屋/赤石岳の分岐点に出る
赤石岳山頂まで25分
登ったらここまで戻るので皆ここに荷物をデポしていく
我々が着いた時にとうとう雨が降り出す
土砂降りに近い雨
急いでデポするザックにザックカバーを被せる
カッパを装着
相棒かっこいいゾ!
他の登山者達も皆ザックカバーしてデポ
いきなりの悪天候
これだから山の天気は怖い
赤石岳3120m登頂
とうとう今回の山行最期の頂を踏む
本日二座目の百名山制覇だ
生憎この天候、景観は皆無に近い
しかし達成感はある!
頂上塚のすぐそばに赤石避難小屋がある
本日は突然降り出した雨と雷の為にこの避難小屋で緊急宿泊する客でギュウギュウ詰めだ
我々も避難小屋泊を考えたが2泊3日で今回は予定していることもあり、この先へ歩みを進める判断をする
赤石小屋までコースタイム2:35、本日最期の区間を歩き出す
この時時刻は14:00、雷鳴轟く標高3,000mでのこの判断が死を招くやも知れぬ失敗になるとはこの時は思いもしていなかった…
今回は「南アルプス南部縦走(中篇)」のレポでした。
後篇へ続きます。
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