空木岳~東川岳~熊沢岳~桧尾岳~木曽駒ヶ岳
単独行2日目。
避難小屋での睡眠は他の登山客に気を遣ってぐっすりとは眠れなかった。
やはりテント泊が性に合っているようだ。
さて、本日の行程はかなりキツイ行程だ。
気を引き締めて行くことにしよう。
前回までの記録
駒峰ヒュッテ~東川岳
夜半過ぎから降っていた霙も5:00にはやんでいた。
なんとなく食欲が湧かず、行動食だけ軽く食べる。
食べ終わったら濃い霧の中ヘッ電点けて駒峰ヒュッテを後にする。
東の空が明るんできた。
本日の行程は長いし、いつまでもここに居る訳にはいかない。
尾根歩きを開始する。
本日の行程は11時間基本尾根を歩く。
思っていたより険しい道が続く。
こんな感じの岩を何度も登ったり降りたり。
道は険しいが展望は見事であり、まるで早朝の雲海の上を散歩してるかのようだ。
朝の寒さも心地よい。
白い息を吐きながら岩尾根を歩いていると抜けきっていない昨日の疲れも飛んでいくようだ。
1時間ちょいで木曽殿山荘に出る。
ここは予約が無いと宿泊できない珍しい山小屋。
本当は昨日の内にここまで来ておいて二日目はここからスタートしたかったのだが、残念ながら先週の半ばに予約を入れようとしたら既にいっぱいで断られた。
ここで1日ぶりとなる水の補給をして一安心。
休まずに東川岳へと歩みを進める。
分厚い霧は一向に晴れる気配を見せない。
3m先が見えないくらいの濃い霧だ。
AM7:30。
急坂を一気に登り東川岳2,671m登頂だ。
東川岳~桧尾岳
ここまで1度も休憩を取らずに熊沢岳を目指して歩いている。
幾度となく岩を超えてゆく。
ザックの重みが堪える。
テント泊装備で来た事を少しだけ後悔し始めてきた。
AM9:00。
熊沢岳2,778m登頂。
霧のため視界はほとんど無い。
晴れていたら絶景だったであろう稜線に怨めしい目を向ける。
本来はここで景色を眺めながら休憩予定だったのだが、この状況なので休憩を取りやめ一気に檜尾岳に向かうことにする。
ここら辺りで昨晩檜尾岳避難小屋で一泊したであろう登山者たちとすれ違い始める。
霧でお互いの姿が確認しにくく、岩場などですれ違う時は危なっかしい。
AM10:40。
檜尾岳2,728m山頂到着。
ここまではコースタイムより少し早く歩いていたのだが、この区間で本日初めて区間タイムがコースタイムより10分遅れた。
いよいよ疲れが出てきたか?
気付いたらお腹がぐぅと鳴っている。
しかし食事に割く時間はないので、行動食を1つ口に放り込んでまた休まず歩き出すことにする。
桧尾岳~極楽平
濁沢大峰を目指す途中、ふっとガスが切れる。
途端素晴らしい景色が目に飛び込んできた。
紅葉に彩られた中央アルプスの山々。
今日晴れてたら最高だったんだろうなぁと苦笑い。
一瞬の晴れ間であったが、神様の計らいに感謝しつつ元気を取り戻し、また歩き続ける。
濁沢大峰2,711m登頂。
本日5つ目の峰だ。
外国人2名の登山者が山頂で仰向けに寝転がり空を眺めていた。
「こんにちわ」と声をかけ片言の日本語で少し会話をする。
言葉は通じなくとも山を愛する気持ちに国境はない(笑)。
キャメルバックが空になったので、プラティパスから水を移し行動食を食べながら地図を確認。
5分ほど休み「よし!」と気合を入れ、外国人登山者に別れの挨拶をしてまた歩み始める。
もう本日何度登ったかわからない岩壁。
大したことない岩だけど、ザックは重いし空腹だしで、疲れた身体にはかなり厳しい。
小ピークの島田娘2,858mを超えていよいよ極楽平分岐点だ。
ここまで8時間ほぼ休み無しで歩いてきた。
この先の宝剣岳を超えて木曽駒まで約3時間だ。
この極楽平の分岐路でアクシデント。
朝から食事も休憩も取らずに歩いてきたためか、脚が痙攣し始めまともに歩けない状態に陥った。
あとひとつ宝剣岳さえ越えれば本日の宿泊地に辿り着けるのだが、宝剣岳は危険な山路でありこの脚で登って転落などしたら洒落にならない。
かなり悩んだのだが、ここから20分で千畳敷ロープウェイ駅に降りれるので木曽駒は諦め千畳敷から下山することにした。
悔しい気持ちもあるが、ここで無理を押して取り返すがつかないことになるのは避けるのが正解。
こんなトラブルも含め登山なのだ。
今でもこの時の判断は英断だと思っている。
エスケープしての下山
濃霧の中を痙攣する脚を押さえながらよろよろと千畳敷へ降っていく。
20分も歩くと千畳敷ロープウェイ駅が見えてきた。
PM14:00。
やっとの思いで千畳敷に到着。
千畳敷駅は目を疑うほどのとてつもない人混みだった。
秋の三連休ということもあり、登山者だけでなく紅葉目当ての一般観光客が多数訪れ大混雑。
下山ロープウェイの整理券を貰ったら3時間後とのこと。
日本で一番乗車に待ち時間があるのは某夢の国の乗り物だと思っていたがどうやら違っていたようだ(笑)。
仕方がないので駅の食堂でラーメンを食す。
朝からちゃんとした休憩皆無で行動食のみで9時間歩いてきた。
美味しすぎて思わず涙が出そうになった。
食べ終わってもまだ時間が余ってたので、有名な千畳敷カールの写真などを撮りながらゆっくりしてた
残念な天候だけど、晴れたらさぞかし綺麗なんだろうな
霧の紅葉千畳敷もまた情緒があっていいものだけど
今回は百名山二座を踏む予定だったが、木曽駒ヶ岳をエスケープしたため空木岳一座だけとなってしまった。
木曽駒ヶ岳はまたいつか挑戦しようと思う。
今回3泊のところが2泊となり、背負ってきたテント装備がまったく無駄になってしまった。
まさに修行のためだけにテント背負ってきたようなものだ。
天候に負傷と踏んだり蹴ったりの山行であったが、きっと振り返れば楽しかった思い出になるし、何よりも山で動けなくなって最悪の状況にならなかったので良しとしよう。
それにしてもヘトヘトだ(笑)。
後日、木曽駒ヶ岳と宝剣岳にはしっかりとリベンジしましたよ!
無事下山できた事を山の神様に感謝します。
今回は『中央アルプス縦走』レポ後篇でした!
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